筑波大学|大学院数理物質科学研究科|化学専攻

 
  
       
  市川研究室の研究  
   

 有機合成化学の分野では、目的の反応を促進するとともに制御し、望みのもののみを効率良く合成することが重要な課題です。 私共は、このために有機金属化合物および含フッ素有機化合物を取り上げ、金属やフッ素の特性を活用して反応の設計を行うことで、新しい発想に基づいた合成手法の開発を進めています。なかでも、その「物性」が広く利用されている含フッ素有機化合物に対し、「反応におけるフッ素の特性」に注目するという独自の観点から、これを積極的に活用する新反応を展開しています。

 具体的には、早くから取り組んできた様々なフルオロアルケン(1,1-ジフルオロアルケン、1,1-ジフルオロアレン、2-トリフルオロメチル-1-アルケンなど)の効率的合成法に加え、フッ素の特性を活かした含フッ素ヘテロ環の構築法や多環式芳香族炭化水素(PAH)の合成法を開発しています。また最近では、遷移金属触媒による反応開発にも挑戦しており、ジフルオロカルベン錯体に代表されるフッ素置換反応活性種を用いる反応や、炭素ーフッ素結合(CーF結合)の活性化を達成する反応を発表しました。この他、カチオン安定化能を持つ新しい反応溶媒(反応メディア)やフローシステムによる合成反応、特異な構造と性質を備える新しい反応剤も開発しています。