研究概要(一般向け)

シトクロムcの研究

タンパク質は生体内でエネルギー生産、触媒反応、構造維持など、生物が生命を維持するために必要な反応をつかさどっています。そしてタンパク質は一本のヒモ状のアミノ酸から形成されますが、上に述べた重要な働きを持つためには折りたたまれてある決まった構造をとる必要があります。私たちが研究しているシトクロムcは、折りたたまれた後さらにヘムと呼ばれる分子を結合することで、エネルギー生産に必要な電子の運搬を担っています。私たちは現在、シトクロムcの形(立体構造)と電子運搬機能がどのように関係するかを研究しています。
  シトクロムcの立体構造(PDB:451C)


タンパク質の構造 また、タンパク質の性質としてもうひとつ重要なのは変性とよばれる性質です。タンパク質の変性とは、タンパク質の構造が壊れて一本のヒモ状になってしまい、上で述べた働きができなくなることです。タンパク質は生物から取り出した後も試験管内で反応することができるのですが、この変性という性質のために長時間の利用が難しいという弱点を持っています。そこで私たちは、変性しやすいシトクロムcと変性しにくいシトクロムcを比較することによって、タンパク質がどうすれば変性しにくくなるかを調べています。

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ヘモグロビン、ミオグロビン

哺乳動物の酸素運搬は、ヘモグロビンと呼ばれるタンパク質によって行なわれています。ヘモグロビンは、ヘムを持った4つのタンパク質が集合した複合体であり、そのため酸素分子を同時に4分子結合することができます。 さらに、ヘモグロビンの最も特徴的な性質として、酸素が結合すればするほど酸素が付きやすくなり、逆に結合する酸素の数が減れば減るほど酸素が付きにくくなるという協同性と呼ばれる性質があります。この協同性はヘモグロビンが4つのタンパク質の複合体であって初めて発現することから、4つのタンパク質同士の相互作用が重要であることが知られていますが、不明な点も多く残っています。私たちは、ヘモグロビンが協同性を示す要因の解明を目指して研究をおこなっています。さらに、ヘモグロビンの1分子バージョンとも言えるミオグロビンに関しても、特に酸素分子が結合するヘム(活性中心)の解析を行なっています。
ヘモグロビンの酸素化模式図
Deoxy型(酸素が結合していない状態)からOxy型(酸素が結合した状態)への立体構造変化の模式図。酸素結合の割合によって立体構造が変化することにより、協同性を発揮できる。

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核酸の研究

地球上の全ての生物の遺伝情報は、デオキシリボ核酸(DNA)と呼ばれる分子によって保存されています。このDNAという分子は、ひも状の長い重合体を形成しているのですが、通常は2本のDNA分子が絡まって存在しています(2重らせん構造)。一方、グアニン塩基を多く含むDNA分子は、2重鎖よりも4重鎖構造を形成することが知られており、4重鎖構造は遺伝子の発現(遺伝情報が実際に働くようになること)や、細胞のがん化に深い関係があることも示されています。このような4重鎖DNAには生物学的のみならず化学的にも面白い性質を示します。例えば、私たちが研究しているヒトテロメアDNAは、4重鎖を形成した状態でヘムを取り込めることが見出されました。ヘムを取り込んだ4重鎖DNAは、上に示したシトクロムcなどのヘムタンパク質と類似した性質を示すことから、新たな機能性分子の創製が期待されています。

dsDNA   qsDNA

2重らせんDNAの模式図。 Aに対してTが、Gに対してCが特異的な塩基対を形成することにより、 2重らせん構造を形成する。生体内のDNAの多くが、この2重らせんを形成すると考えられている。

 

4重らせんDNAの模式図 2重らせんではCと塩基対を形成していたGが、同一平面内で特殊な相互作用を形成することにより 4重らせん構造を形成する。 特にヒトや酵母などの真核生物のゲノムDNA染色体末端に見られる配列が形成しやすい。 ヘムを結合することで、新たな機能性分子の創製の可能性を担っている。


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2017.4.10 更新