鍋島研究室 研究概要
生体内では外部因子による機能制御として、外的刺激に反応して構造が変化することにより機能の調節を行うアロステリックシステムが特に良く知られており、生命の維持に重要な役割を果たしている。これを人工系に応用すれば、ゲスト認識能や触媒活性などの分子の機能発現を自在に制御できる知的分子システムを構築できると考えられる。さらに、このシステムは機能の増幅や分子メモリー、分子論理素子などの次世代型機能分子の創製につながることから現在非常に注目を集めている。そこで我々は、外部環境に応じて分子の構造や集合状態が変化する機能性有機化合物を設計・合成し、その機能を望み通りに発現することができる超分子システムの開発を行っている。
- 擬マクロサイクルの形成による分子認識制御
- シッフ塩基/オキシムを有するマルチメタロシステム
- 発光性ジピリン錯体を組み込んだ応答性超分子
- 新規な機能をもつジピリン典型元素錯体の創製
- Phosphangulene骨格の凹面構造を利用したホスト分子
展望
最近の総説・解説
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T. Nabeshima (Editor) "Synergy in Supramolecular Chemistry" CRC Press (2014).
- T. Nabeshima and M. Yamamura, Pure Appl. Chem., 85, 763–776 (2013).
- 鍋島 達弥・山村 正樹、"相乗的機能の発現に向けた分子システムの設計と合成"、月刊『未来材料』(NTS出版), 2011年8月
- T. Nabeshima, Bull. Chem. Soc. Jpn. (Award Accounts), 83, 969–991 (2010).
- T. Nabeshima, S. Akine, C. Ikeda, and M. Yamamura, Chem. Lett. (Highlight Review), 39, 10-16 (2010).